
Kindle Paperwhite を手に入れてから半年が経つ。驚くべきことかどうなのか、本(電子書籍)の購入量が大幅に増えた。興味がある本は手当たり次第にサンプルをダウンロード~面白そうであれば買うという繰り返し。まんまとAmazonの手の上で転がされている。
使ってみてわかったメリットをあげてみよう。
- 文字サイズを自由に変更できる。
- 他の書評を読んだあとに躊躇せずにすぐ買って読める。
- 電子書籍のみの魅力ある企画出版が増えてきた。
- 全体的に紙の本よりも安い。
最近ちょっと眼のほうが進んじゃって、Kindleを買おうと思った最初の動機が文字サイズが変更できるからなんです。これは最高ですね。文字サイズ以外にフォントも明朝かゴシックくらいであれば変更できる。電車で暇なときにiPhoneで読む場合はゴシックのほうが読みやすい。
すぐ読めるというのは、その場で現金を払わなくても24時間いつでも買えるというECショッピングの利便性以上に、ブツ(この場合はコンテンツ)がすぐに手に入るということだから考えてみると恐ろしい。ためつすがめつという逡巡がいらないのである。裏をかえせば勢いで何でも買ってしまいそうで怖い部分もある。デバイスに積ん読状態に要注意だ。
Kindle版に限らないが、電子書籍のみで出版される企画本が増えてきた。個人的に、開高健の全集が出たのはうれしかった。大昔に文庫本で読んだものも多いが、そうでないものもかなり収められている。それにしても、これだけ網羅されているのは画期的ではないだろうか。読んだものもほとんど捨ててしまっているので、再読しようと思っても先の理由から今さら文庫本の小さな字を読むのも億劫なのである。Amazonのレビューに「この全集を読むため、タブレットを購入した。」とあるではないか。その気持ちがすごくよくわかる。なんせ、紙の本では出ていないのだから。
このように、紙の本の名著や絶版本を再編集して、そこに新たに付加価値をつけて電子書籍として出すというのはひとつの方向性として正しいだろう。ひとりの作家が過去にさまざまな雑誌や出版物に残した記事やコラム的なものを集約するというのもファンにとっては魅力的だ。それらすべては、既存の紙として出版するにはあまりにもリスクが大きいのである。だからこそ電子書籍なのだ。
不公平なのでデメリットもあげてみるよ。
- 一覧性が悪い。
- 装幀を楽しむことができない。
- 中古で売れない。
- まだまだ書籍数が少なすぎる。
現段階でのUIの限界ということで言えばだが、一覧性は紙には勝てない。ブックマーク(しおり機能)は良いとしても、読書中の各デバイスとの同期に関していえば、不安定なときもあるし、もう少し柔軟性があってもいいだろう。
装幀やモノとしての所有感というのは皆無である。これをもとめるならば、紙の本にとどまっているしかない。好き好きでいいと思うが、ニッチな世界になっていくことは音楽の例でも明白である。
中古で売れないというのはかなり重要なことかもしれないが、今後の電子図書館構想を考えると中古市場がこれからどうなっていくのかと合わせて考えていく必要がある。
書籍数は特に新刊が少ないが、講談社や小学館といった大手出版社に限ってみると、新刊を紙と電子で両方出す宣言をしているので増えてくるのは時間の問題だろう。
その他にも週刊少年ジャンプのような大部数の漫画も発売されるようになった。この手のコミック系を購入することはないのでコメントできないが、かなり売れてはいるようだ。携帯コミックが先導したように、デジタルネイティブ世代にとっては漫画といえば「電子が普通」になりつつあるのかもしれない。
KDPやプクログといったプラットフォームを使った個人の電子出版も増えている。何冊か読んでみたが、これにはコンテンツの内容といった部分よりも、編集やその作り自体(構成)にかなりムラがあるように思う。
あー、これは紙のほうがいいな、というものにアプリケーションの参考書やマニュアル本などがある。特にカラー物はモノクロのタブレットでは確実にアウトですね。図版も拡大しないと読みづらいし、やはりパラパラと一覧できる便利さが必要。それとパソコンの脇において見ながら操作するわけだから、タブレットではかなり面倒だと思った次第。