日本語のどこに魅力があるのか、日本人にはわからない

2014年2月27日

今年のアカデミー賞のアニメーション部門と主題歌部門の有力候補にもなっているディズニーのミュージカルアニメ映画『アナと雪の女王(原題:Frozen)』が、3月14日から日本でも公開される。すでに発表されているアニー賞では5冠に輝いた注目の作品。ディズニーお得意のポリゴンの精密さにも見どころがあるが、主題歌の『Let It Go』も話題だ。主題歌を25の言語でつないだおもしろいバージョンが、YouTube にアップされている。

 

 

これはすごい! 異なる言語をつないでひとつの歌にしているのに、ほとんど違和感がない。ひとりの器用な歌手が歌っているかのようだ。当然のことながらキーはまったく同じで、声質も似ている声優を選んでいるのかも。ミキシングの技が光る。

さて、この中に日本語バージョンの部分もあり、松たか子が歌っている(1:12〜)。この映画、姉のエルサと妹のアナの両方が主役というディズニー初のダブルヒロインなのだそうだ。松たか子はエルサの日本語版吹き替えを担当している。ちなみにアナ役は神田沙也加(ご存知、松田聖子のお嬢さん)だそうな。

このYouTube上の動画は閲覧件数がなんと1,000万件を超え、コメントの数もかなり多い。今回、SNSに流れてきたので知ったのだが、ここで驚いてしまうのは、日本語(つまり松たか子バージョン)パートの部分についてのコメントが非常に多いことだ。なんだろう、これ? その理由がまったくわからない。

Cute とか Best とか、オリジナルよりもいいとか言ってる。日本人であれば日本語の歌詞も含めてその良さもわかるというものだが、日本語が理解できない国の人たちがいいと言っている不思議さ。日本語に変わった瞬間に世界観が少し異なるように感じはしたが、それは自分が日本人だからそう思うだけなんじゃないかな。日本語が特別でも何でもなくて、どの言語もすべてが魅力的だと思うんだけど。

そこから波及してさらにヒートアップしているのが、日本語だけのフルバージョンだ。2月2日にアップされて既に閲覧数70万件以上になっている。英語の歌詞に合わせて日本語をローマ字表記しているので、日本語圏以外の国の人達にもわかりやすいのだろうけれども、コメントも結構あるようだ。(投稿時の動画は3/16現在、日本ではブロックされているため公式の日本語バージョンに変更しました。)

 
正直にいって、そんな風に日本語の歌を感じてもらえることがうれしいという気持ちもあるが、「気持ち悪いなあ」が先に立ってしまう。ぼくたち日本人の多くが英語圏の歌にあこがれを抱くような感じなのかもしれないが、その場合は多分にリズムやメロディラインという「曲」そのものや「歌手」のキャラクターに魅せられていることがほとんどだろう。イーグルスの『ホテルカリフォルニア』やマイケル・ジャクソンの歌なんて歌詞を気にして聴いている人はよほどのファンでなければありえない。『Let It Go』の場合、曲はオリジナルですからね。取り立てて日本語バージョンを意識することはないはずなのだが。

「クールジャパン(実はあまり好きな言い方ではない)」というものが浸透しているのだろうか? アニメ=日本みたいな刷り込み現象があり、日本アニメのようにカワイイ声優の声で歌われていることに萌えー、なのかもしれない。しかし、ディズニーアニメファンとアニメオタクは少し違うジャンルのような気がする。

ここで考えられるのは、日本語が他の言語と違う何らかの魅力があるのでは、ということだ。言語学とかには無知なので、日本語の特異性はわからない。母音や子音が独特とか、単に松たか子が素晴らしいだけなのかもしれない。誰かわかる人、教えてください。確かに、松たか子はこの曲を魅力的に歌いこなしている。むしろ上手いというのであれば、日本語版エンディングソングとしてMay J.(この人を今回初めて知った)が歌うこちらだろう。

こういう例として古いところでは、坂本九の『SUKIYAKI(原題:上を向いて歩こう)』が思い出される。最近、この歌をオノ・ヨーコが訳した英語バージョンの『Look At The Sky』を、イギリス人の歌手オリー・マーズが歌って話題になった。

しかし、日本人にとっては日本語の歌を英語で歌ってもらってもあまりピンとこないことが多い。ぼくなどは違和感を感じてしまうのだ。例外はレイ・チャールズの『いとしのエリー』くらいかな。だから、なおさら向こうのオリジナルを日本語で歌ったものを、他の言語の人たちが「いい!」ということが理解不能になってしまう。

でも、この主題歌自体は本当によくできていていい歌だ。アカデミー賞は3月2日。賞が取れるかどうかも楽しみである。

3/17追記。見事、アカデミー主題歌賞に輝きましたね。

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