ソニーの失敗は、2001年に始まったのだろうか

2014年2月10日

今年になって VAIO を買った。そして、ソニーが VAIO事業を売却し、パソコンから撤退するらしい。おいおい、なんじゃいそりゃあ〜、てなもんですね。ちょっとショックだけどしょうがない。最も安いノートタイプを買ったので参考にならないかもしれないが、はっきりいって品質・使い勝手が良くないです。やはり Dell あたりにしておけばよかった。

ソニーコンセプトはどこへ

Webサイトで選んだときはそれなりにスマートに見えたデザインなのだが、届いた実機はかなり野暮ったい。タッチパッドがもっさりしているのは、Windows8が原因だと思っていたけど、どうやらハードもそんな感じだな。ソニー製品ってこんなんだっけ? 最初に買ったステレオシステムがソニー製で(Listen-7というコンポ)、その後もウォークマンや TV や携帯など、多くの製品を使ってきただけに悲しい思いでいっぱいだ。ただでさえパソコンは売れなくなってきてるんだから、こんな製品作りじゃ確かに生き残れないと思うよ。

自伝にも書かれているが、アップルの故スティーブ・ジョブズがソニーに憧れていたのは有名な話だ。特に、ソニーの創業者の一人である盛田昭夫氏をリスペクトしていたことはよく知られている。それは、ソニーのテクノロジーやデザイン品質、マーケティングなどにイノベーションがあったことに他ならない。現在のソニーが、低価格=安っぽい製品を出しているのに対し、アップルは価格を下げても決して品質やデザインに妥協しない。その姿勢は、ジョブズがまさにかつてのソニーを模範としたことによるものだろう。

昨年、「SONYイノベーションの遺伝子は『NEXシリーズ』に宿っている」という投稿をした。そう、カメラ事業はかろうじて保ち続けているように見える。しかし、以前のソニーはすべてにおいてそれがあったと思うのだ。音楽やゲームのようなエンターテイメント事業、アイボで話題になったロボット事業などへと、単なる電気製品メーカーの枠組みから飛び出そうという企業精神は、後年アップルがはたした、iPod や iPhone というコンピュータ以外への進出の先陣を切っていた。

いつの間にそのような精神が消え失せてしまったのか。縦割りの風通しの悪さや、権威主義などという大企業病が原因だ、などとひとことでは済まされない病が巣食ってしまっているのではないか。消費者に対して、ソニーというブランドの個性や夢を与えることができなくなっている。ソニーコンセプトがバラバラにしか見えず、他メーカーでも代替できる製品が多い。

ソニーとアップルの関係は、なぜ進まなかったのか

かなり前のことだが、アップルからソニーに提携の話があり、それをソニーが断ったという話を覚えているだろうか。そしてつい最近、その当時の話が詳細に明かされた。Macブログで有名な maclalala2 で紹介された林信行氏の記事である。ジョブズがアップルに復帰し、iMacでリノベーションを起こし始めていた頃の話だ。

ソニーの幹部たちは例年冬をハワイで過ごし、新年をゴルフで祝うのが常だった。そんな 2001 の新年ゴルフコンペでの話。「スティーブ・ジョブズとアップルの幹部たちがゴルフの最終コースで私たちを待っていました。『Mac OS で動いている VAIO』を抱えて・・・」と安藤国威元社長は当時を思い出して語る。

Mac 互換機ビジネスはアップルの事業だけでなく「Mac」ブランドにとっても有害だと考えたのだ。しかしそのジョブズが 2001 年には例外を作ってもいいと考えた。その例外がソニーの VAIO だった。

しかしソニーにとってはタイミングが悪すぎた。ソニー VAIO の人気がちょうど出始めたところで、VAIO チームは VAIO のソフトとハードを Windows プラットフォームに最適化する作業を完了したばかりだった。このため VAIO チームのほとんどは「そんな価値があるだろうか」と反対した。かくて Mac 互換機 VAIO の話は終わりを告げた。

Mac 互換機の「VAIO」が生まれていたかもしれなかった>より

ずいぶんとリアルな話だ。もしも VAIO が MacOSマシンになっていたとしたら、ソニーはどうなっていたんだろうか? その提携は iPod と Walkman の融合にも結びつき、Xperia もiOSに、iTunes のデフォルトコンテンツがソニーエンターテイメントになり、PS だってどういう展開になっていたのか、と想像するだけでワクワクする。

いや、逆に大失敗していたかもしれないね。でも、ソニーがそういうリスクをとれない企業になってしまっていたことが問題なのだと思うよ。その後アップルは MacBook Air という画期的な製品を出し、その分野をリードすることになる。

自社技術やライセンスを守りたいのはアップルも同じ。ジョブズがどんな気持ちでこの話を持ち出したかを考えると、胸がいっぱいになる。彼がいなくなった今、時間はもう巻き戻せないだろう。2001年といえば、アメリカ同時多発テロが発生した忘れられない年でもある。2001年宇宙の旅も思い出される。ソニーにとっても転機の年になったかもしれないのだ。

ソニーのパソコン事業をどこが引き継ぐのかは、現状では定かではない。まして、事業の切り売りだけで立ち直れる話ではないだろう。ソニーが発表した内容では、PC からスマートフォン・タブレットなどのモバイル領域へシフトするということだが、そんなことは今さら当たり前の話だ。問題はその先で、まったく未来のコンセプトを提示出来ていない、付け焼刃な対応だけでこれからを乗りきれるとは思えないのだが。真の復活を望みたい。

今、ソニーに必要なのは、創業者森田氏やジョブズのような明確な改革ビジョンと強固な意志を持ったリーダーなのだと思う。はたして、そんな奴いるのだろうか?

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