ズブ濡れで聴いた、日比谷野音90周年の夜

2013年8月1日

日比谷野音90周年記念コンサート

野音といえば日比谷。その日比谷野外音楽堂が今年開設90周年を迎えた。記念イベント目白押しらしいが、渡辺貞夫と山下洋輔のそれぞれのグループがジョイントするコンサートは、ジャズファンとして逃せなかったので27日に行ってきた。

あいにくの天気で、後半から雲行き怪しく雨がぱらつき始め、終いには豪雨となって雷の特殊効果付きというめったにないコンサートとなった。コンビニで買ったレインコートを羽織ったにもかかわらず、終了後には下半身がずぶ濡れになってしまった。ビールどころではない。

さて肝心のセットであるが、前半は山下洋輔トリオ。ゲストに菊地成孔と寺久保エレナのホーンが参加。まあ、こちらも予想通り良かったのだが、初めて生で聴く寺久保エレナはパーカーとコルトレーンの影響が強く出過ぎている気がして、もう少しオリジナリティが出せていればなあ。菊池成孔は相変わらず達者で、アドリブも冴えていた。

しかし、何といっても圧巻は渡辺貞夫ことナベサダだった。10代後半に始めてライブを観て以来何度となく聴いているが、今回は久しぶりであった。もう80歳らしいが、少しも歳を感じさせないのがすごい。音が美しく、しかも張りがある。オリジナル曲は親しみやすいメロディーライン。
その昔、資生堂ブラバスのCMで有名になった『カリフォルニアシャワー』を、ジャズじゃない、軽薄だ、といってバカにする人も多かったが、これも耳に残るすごく良いメロディ。作曲家としても素晴らしい。

そして、圧倒的なキャリアが音に包容力を与えているような気がした。何年か前に渋谷のオーチャードホールで聴いた時はあまりパッとしなかったのだが、この人は野外のほうがいいのかもしれないなあ。張りのある音の一因は楽器にあるんじゃないだろうか。確かセルマーのシルバープレートに変えて数年経つと思うが、自分の音として消化させているのだろう。

なにも新しいことをやることだけがジャズじゃない、ということを証明して見せている。雨は激しくなっていたが、何列か前にいた幼稚園くらいの女の子がピンク色のレインコートを着て、ノリノリで盛り上がっていた。音楽は正直だ。将来は舞台に立ってるのかもね。

豪雨の中、最後はパーカーのオーニソロジー(だったかな?うろ覚え。)を全員で。雷も激しくてこれ以上は無理、ということでアンコールも無く終わってしまったのは残念だったが、野音90周年記念のライブらしい印象深い一夜であった。

帰宅してニュースを見ると、隅田川の花火大会は中止になっていた。それを思えば、最後まで開催できただけでも幸運だったのだろう。

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