アドビの博打は吉か凶か

2011年12月1日

賛否両論が飛び交っていますが、圧倒的に「否」が多いようです。先月アドビが発表したアップグレードポリシー改定についてですよ。下記の記事も参考になりますね。

簡単にまとめてみると、

  • 次のバージョンアップ(CS6)から、アドビCS製品のアップグレード対象商品を従来の3バージョン前までから1バージョン前までのみに変更。
  • Adobe Creative Cloud でのサブスクリプションを月額5,000円(個人版年契約の場合/税別)で提供。

の2点です。

2バージョン以前の製品を持っていてもアップグレードは適用されなくなるので、その場合は新たに製品版を買ってちょ! それがいやなら月額課金ですべてのCS製品が使えるので、そちらで契約してね。ということです。

 

アドビもかなりの博打を打ちましたね。もちろん勝算があると思ってやるのでしょうけれど、この決定にはいろいろな事情も含まれています。

印刷物制作需要の減少により、コンテンツ制作ツールというパッケージ製品の売上に頼ってきたビジネスモデルが限界を迎えつつあるというのがひとつ。ツールの機能が一定レベルまで進化したことで飽和状態になり、ユーザーにとって高額な割にはアップグレードによる付加価値を見いだせなくなってきていること。重い、クローズド、バグが多い、というFlash(特にモバイルで)に未来が無くなったこと、などなど。

以前にAdobeもつらいよで書いたように、現在でもその製品内容やバグ対応の遅さ、価格設定、供給方針にユーザーの不満は少なくありません。

今までもCSというパッケージ抱き合わせ商法には批判が多かったのですが、今回の改定では、特に1バージョン前までしかバージョンアップの対象にならないことに批判が集中しています。ほぼ一見さん相手の商売をしたがっているということですね。

また、CS製品の中でもIllustratorやPhotoshopなどの単品しか使用していないユーザーにとっては、サブスクリプションのうまみがほとんど無さそうです。常に3〜4本のアドビ製品を使うデザイナーにとっても、過去データとの互換性や他社とのやりとりもあるため、バージョンは単に新しければ良いというものではないので、サブスクリプション契約で常に最新版を使えるといわれても逡巡しちゃうわけです。

確かに月額5,000円ですべての最新のアプリが使えるとしたらお得な感じもしますが、ほとんど使わないアプリもありますからケースバイケースかと。

 

代替が無いということはつらいことです。その業界で圧倒的なシェアを握られてしまうと、それらに頼らざるを得ないユーザーは、その決定にほぼ従わざるを得なくなってしまうのです。全盛期のWindowsしかり、今話題のオリンパスなんかも、医療分野、特に胃カメラなどではそうでしょう。あんなことがあっても、無ければ困る医療従事者が圧倒的に多いはずです。東京電力を始めとした電力会社のインフラもそれにあたります。提供する側が独善的になってしまうのですね。

デザイン業界のツールでは、以前はもう少しライバル製品がありました。クォーク社のQuarkXPressやマクロメディアのFreeHandなどがそうです。でも、今やほぼAdobe一色。振り返ってみると、QuarkXPressというアプリもデザイン業界で圧倒的なシェアをとっていたという意味では、同じ道を歩んだのかもしれません。今回こういうことがあって、あらためてその怖さを思い知らされたわけです。もっと、無理矢理にでも選択肢を広げとかないとまずい気がしています。

シェアを独占しすぎると、健全な発展は難しいかも。iPhoneも気をつけたほうがいいんじゃないかな。

 

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