アナログ停波の前日に「テレビは生き残れるのか」を読んだよ。

2011年7月23日

明日(7月24日)の正午でテレビのアナログ波が停波します。皆さん、対応が怠りないのか、それともパニックになる人もいるのか、それは想像もつきません。そんなタイミングに、境 治著『テレビは生き残れるのか』を読みました。

「テレビはこれからも生き残れます」と言えるのだけど、「ただしそのテレビは、これまでのテレビではない」

『テレビは生き残れるのか』P.260より

 

この本は、この言葉に集約されているような気がします。東日本大震災、そしてアナログ停波というダブルで訪れた、テレビのようなマスメディアにとっての変革のチャンスがここにあるのだと思います。

読者の立ち位置によって捉え方や感じ方も異なるはずです。映画の観客やテレビ視聴者、新聞や雑誌であれば読者といった、外部からメディアに接触している大多数の方たちの立ち位置、一方では、メディア(特にマスメディア)に関わることを生業にしていたり、その内部にいる(いわゆる中の人)方たちの立ち位置です。

前者にとっては、現状のマスメディア業界の内情をある程度俯瞰できる内容になっています。デフレや景気後退により一般企業が倒産したり、売上がこれだけ落ちているにも関わらず、メディア業界だけは安頓としているように見えている方も少なくないでしょう。でもご安心ください。あー、このまま行くともう少しでここもガラガラと崩れるんだな、ということがここに書かれています(笑。

後者の立場で読むと(境さんもそうですが、末端ですがぼくもそのひとりです。いや、でしただな、もう)、自虐をこめて苛立ちと不甲斐なさが怒涛のように押し寄せてきます。マスメディアとそこに群れるカタカナ職業というのは、最も先進的で変化の激しい世界に生きていると外の世界には映っているはずです。しかし、社会の変化に対応するメディア自身の方向性やその土台にあるシステムは、異常に古い考え方が続いてきました。

最も大きい要素はマネタイズの問題です。今までのメディアは、広告という収入源によって成り立ってきました。その前提が崩れるということがどういうことか、この本では明確に書かれています。

メディアは広告ビジネスありきで、コンテンツ自体でマネタイズするということを怠っていたことは確かでしょう。関わっている人たちも半ばそこに気付いていたに違いありませんが、人間とは弱いもので、今が安住の地であればギリギリまでそれを捨てられないんですね。

テレビについて個人的にいえば、ぼくも境さんと近い年齢層なので、同じように

「ほぼすべての放送スケジュールが頭に入っていて、7時からはあのクイズ番組を、8時からはこっちのドラマを見ると決めてあり、それぞれの開始時期にワクワクしながらチャンネルを回していた。」

『テレビは生き残れるのか』P.259より

くちです。

でも最近はほとんどテレビを見ていない。優秀なクリエイターがいるにも関わらず、なぜこうなってしまうのだろう、ということが残念でしようがありません。報道もしかりです。いつまでも記者クラブごっこをやっていても、視聴者にとって見え透いてきていることは確かです。

マスメディアに携わっている人たちの中には、「勝ち抜け組」と「変えていかなきゃ組」がいると思います。「勝ち抜け組」はもうどうでもいいです。そんな方たちに何を言っても無駄ですから(彼らが怠っていたことは罪が大きいのですが)。必要なのは、こういう現状をスルーしていけば自分の余生は安泰なのに、敢えてそれを犠牲にしてまで関わってくる人たちです。上に物申せるこういう立場の人達が、「変えていかなきゃ組」をどんどん支えていかなければならないはずです。
そのきっかけがソーシャルメディアになるのは、もうどうしようもない現実なのです。

 

ブログの書籍化は珍しいことではないのですが、自分が高頻度で読んでいたあのブログが、となると意味合いが違います。この本は、境さんのブログ『クリエイティブビジネス論〜焼け跡に光を灯そう(通称「焼け跡ブログ」)』の数年に及ぶエントリーを元にブラッシュアップした、現時点での集大成です。

ご本人はブログで

「ブログをずっと読んでくれてる人からすると、ちょっと物足りないらしい。…… ブログでやってるアジテーション的なムードがないのもつまんないのかもね。」

クリエイティブビジネス論「『テレビは生き残れるのか』ここまでの反応とか」

と書いていますが、ブログの口調でやっていたらあまりにも前衛的な本になっていたと思います。ブログはブログ、本は本。そこにお互いの価値があるのでしょう。

 

ここから【告知】
明日(7月24日)、著者の境さんが主催する第3回リアル境塾というイベントがあります。
Ustでも中継があるらしいので、今後のテレビがどうなるのかに興味がある方はぜひご覧ください。『スマートテレビで何が変わるか』を書かれた山崎秀夫さん、『ネットテレビの衝撃』の志村一隆さんの両名がゲストパネリストです。
URLは、多分ここだと思います。
SAKAIjyuku

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