IE6の憂鬱

2010年8月12日

このテーマ、なんか嫌ですね。書いていていろいろな悪夢が甦ります。ごく普通にWebサイトをご覧になっている方には思いもよらない辛さが、WebデザイナーやCSSコーダーの作業には存在し続けています。もちろん今この瞬間にも。

Webは、あなたまかせのデザイン

Webデザインの理想形は紙フォーマットのデザインとはまったく異なります。紙の場合は、広告でも雑誌でも本でも新聞でも、その商品がユーザーの手に渡り、読んでもらうところまでをほぼ確定的にコントロールできます。

しかしWebデザインは、ユーザーが閲覧する環境に委ねられてしまいます。ユーザーのパソコンのスペックやOS、ネットワーク環境、ディスプレイ解像度、フォント環境などに大きく影響されます。そして何よりも、そのユーザーがどのブラウザを使って見ているかはかなり大きな問題なのです。何度もいいますが、あくまでも制作者にとって、ですよ。同じWebページでもユーザー環境で表示は大きく変わりますので、ブラウザによっては激しく表示が崩れるという現象が起きてしまいます。

同じようにデジタルツールを使用して制作するにも関わらず、頑固な紙媒体出身のデザイナーにWebデザインを拒否する方が多いのは、こういうところに理由があります。

表示を固定したい場合にクライアントやデザイナーは、「完全にFlashで制御できるサイト」というものを構築します。画面全体を画像に置き換えて、それをスクリプトで、またはパラパラ漫画的なモーションを付けてコントロールするわけですが、表示が重くなったり、プラグインのアップデートが頻繁に必要だったり、それに何よりもユーザーの自由度が低くなるというデメリットがあります。デザインの再現性と自由度の確保は常に相反関係です。

ユーザビリティという面では、デザインの再現性が多少犠牲になったとしても、ユーザーにとっての自由度をある程度確保し、閲覧時の負担を軽くする必要があります。そういった意図やSEOとしてのメリットを考慮して、W3CというWebの中心となる団体がWeb標準という規格を提唱しました。構造面でコンテンツ(内容)とデザイン(見栄え)を完全に分離するというものです。

コンテンツをXHTMLで表記し、デザインはCSSという比較的簡単なコードで制御します。論理的にも理解しやすいもので、多くのWeb制作者の賛同を得たのですが、そこに立ちはだかった壁がIEというブラウザです。中でもIE6はそのシェアの高さから、IE7やIE8という後継バージョンが出ている現在でも使用しているユーザー数は少なからずいます。

わがままなブラウザ、IE6

制作者の立場で考えると、IE6というブラウザほどウンザリするものはありませんでした。IE6はXTHMLに未対応であり、CSSへの対応も中途半端です。デザイナーがWeb標準に則って正常なCSSを書いて制作したサイトでも、IE6でブラウズするとかなりの確立で表示が崩れます。その原因を追及し、検証をしながら注意深くCSSハックという作業をしなければなりません。この時間と手間はケースによっては膨大なものとなります。ほぼIE6だけのために、この作業が必要です。

最初からシェアの高いIE6で正常に見えるように制作すれば良いのでは、という意見は良く耳にします。しかし、ではIE7やIE8については無視してよいのでしょうか。これらの後継ブラウザは、FireFoxやChromeのようなブラウザと較べれば、Web標準的にはまだ多少の問題はありますが、IE6ほどひどくはありません。それにIE6のように論理的に破綻しているようなブラウザのために、真っ当な挙動のブラウザを犠牲にするというのも問題があります。

下記は、当ブログの閲覧環境です。(8/12現在、Google Analyticsによる)

[ブラウザシェア]

  • IE…28%(内訳 IE8…17%、IE7…6%、IE6…5%
  • Firefox…28%
  • Safari…19%
  • Chrome…16%
  • 他(Operaなど)…9%

[OSシェア]

  • Windows…58%(内訳 XP…42%、7…8.5%、Vista…7%、2000…0.5%)
  • Mac…26%
  • iPhone & iPod touch…6%
  • iPad…5%
  • Linux…4%
  • Android…1%

アクセス数がまだまだ少ないこと、ブログテーマがデザイン絡みのために、一般的なブログよりもMac使いの方の閲覧比率が高いかもしれないので参考になるかどうかわかりませんが、もはやIE6のシェアも無視しても良いレベルになりつつあることに気付きます。(ちょっと驚いたのは、XPのシェアが今でもかなり高いことですが)

新規案件については、制作者側が思いきってIE6以下をサポートから外すことが重要です。それによって「弊社はIE6にもずっと対応しますよ」という制作会社にクライアントを奪われることになったら…。これこそ、IE6のジレンマとしてつきまとう憂鬱ですが、いつまでも悩み続けるよりは発展的だと思います。

’10/8/13修正:
シェアのバージョン別パーセンテージがわかりにくいというご指摘をいただいたので、内訳表示にしました。

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