Flash、その悩ましき存在。どうなる、どうする。

2010年4月22日

どうやら、Adobeの「iPhone,iPadにFlashベースのアプリを載せる」という方針は軌道修正を余儀なくされそうですね。このことはAdobeとAppleという企業同士の戦略の問題のみにとどまらず、メディアとそれに関わる制作業の多くに大きな影響を与えると思います。

iPadは、発売後の反響を見るまでもなく、今後のメディアプラットフォームの流れを変えていく中心にあり、Adobeにとっては絶対にフォーカスしなければならなかったデバイスのはずです。ジョブズがFlashをこきおろそうともめげずに、最新のFlashにiPhoneアプリ用に変換できる機能を付加したことをみても明らかです。

しかし、Appleの本意はこういうみせかけの方法で納得させられるようなことではなかったようです。これは、MonoTouchを提供しているNovellの方針が参考になります。(こちらもまだどうなるかはわかりませんが)。
いずれにしろ、Adobeはとうとう堪忍袋の緒が切れてしまいました。

 

FlashからHTML5へ、は本当に可能か?

さて、影響を受けるのはiPadユーザーよりもコンテンツ制作側です。単純なFlashビデオやアニメであれば、Appleの主張するようにMP4を使用したHTML5でほとんど問題なく置き換え可能だと思われます。Youtubeなどはもう脱FLVとなりつつあるし、もともと動画系デザイナーのメインアプリはFlashではなかったでしょうから。

Webで使われていたユーザーインターフェイス系Flashのデザインも、相当に凝っていない限りはjQueryのようなJavaScriptライブラリなどのAjaxで作られているものが増えてきました。Webに関しては、通常のHTMLをベースとしたデザインであれば問題はなさそうです。

辛いのは、Flashを核として設計された、よりインタラクティブなWebデザインです。それらはFlashデザイナーの腕の見せ所で、HTML5で簡単に置き換えられるようなものではないと思います。

 

メディアも制作も、まさに過渡期の様相

そして、もうひとつ問題になりそうなのが、いよいよ紙から移行し始める電子書籍のデザインです。小説やペーパーバック(新書・文庫)といったテキストベースの書籍はEPUBが代表的なフォーマットになっていくと思うので、当面Flashのようなインタラクティブな要素は必要ないと思います。ところが、新聞や雑誌のようなビジュアルが重要で動画や音声をテキストコンテンツと組み合わせるインタラクティブな要素の付加が欠かせないものはどうでしょうか。

NewYorkTimesやWiredなどがそうであるように、電子版のデザイン制作アプリはデータの共通性やハンドリングなども考えると、紙媒体の業界標準アプリとなっているAdobeのInDesignを使うという流れが自然です。特に最新のCS5では、Flashとの連動でインタラクティブ要素を付加しやすくなっており、その意味では発売を期待していたデザイナーも多かったと思います。

今回のFlashプログラム拒否の方針は、InDesignでの電子書籍デザイン制作に少なからず影響を与えるはずです。まさか、InDesignで制作した雑誌を普通のHTMLに変換したり、そのままPDFで配信したりといったことでお茶を濁せるわけではないですからね。日経電子版も設計に難があるけど、Flashを使わないとあそこまではできなかったと思いますし。

Flashデザインが不可であるということは、プログラマーとチームを組むことは必須としても、InDesignを扱い慣れているエディトリアルデザイナーとFlashが得意なWebデザイナー、そのどちらもがObjective-CやC++を知識としてはかなり知っていなければ質の高いものは作れないという、なかなか厳しい現実が迫ってきそうです。少なくとも僕にとっては、そしてiPhone,iPad用限定での話ですが。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください